菅内閣がスタートして間もないですが、携帯電話料金値下げや、不妊治療保険適用、デジタル庁創設、縦割り行政目安箱など、
話題の新施策でマスコミを賑わせています。
たたき上げの新首相として、下から目線で国民受けの良い政策を連発しており、これらの政策の実施と運営に注目が集まります。
これまで戦後34人の首相のうち、13人が血縁関係であった中、久しぶりに何のコネも無いところから一国の宰相に上り詰めた人物ですから、
その能力も胆力も細かな政策への配慮も、安倍さんとは比べものにならないと思われます。
コロナや米中争いなど、戦後の日本の歴史の中で、最も困難な時代の首相として、
正に命懸けで職務を遂行しようという意気込みも感じているところです。
ただ、気になることがあります。
安倍路線の継承が、海外、特にトランプなどのナショナリストに与える影響です。
安倍政権は、2012年のローマ法王生前退位に端を発した、世界的なナショナリズムの復権に乗り遅れた体制の一つでした。
プーチンやトランプ、英国ジョンソンや、韓国の文在寅など、皆、戦後のグローバリズムと対峙する政権が生まれた中で、
背景に戦後の流れを引きずっていたのは、安倍さんとサウジのムハンマド王子、そしてイスラエルのネタニヤフだけでした。
去年、世界最大の石油処理施設がサウジで爆破されましたが、その後のオイルマネーを巡る攻防は、コロナの陰でずっと継続中であり、
アメリカという用心棒を得て、オイルマネーの王国を築いたサウジは今、必死で石油以外の産業育成に取り組んでいます。
また、アラブ諸国との国交を回復したネタニヤフは、一見、トランプと二人三脚のように見えますが、
イスラエルは、トランプの圧力でアラブ諸国への侵略的な利権搾取の羽をもがれた、と言うのが真相です。
これらの流れを見てくると、今、中国共産党の解体に全力を注いでいるトランプが、
その先に見据えているのは、日米貿易不均衡の是正です。
たった今の、中国の踏み絵の効果は、今後の激しい日本企業叩きに繋がっていき、
そこでは、トヨタも難を逃れられないと見ています。
国内政策のアピールをしつつ、最大の国難である安全保障と経済のジレンマに取り組みつつ、
戦後満州から続く利権の構造にも手を付けなければいけない、叩き上げの宰相は、
正直、命が幾つあっても足りない状況に思います。
常に二つの勢力の暗躍の舞台となる宿命を宿した日本には、
いつになったら、正しいことをストレートに実行していける体制が整うのか。
国も個人も、自立がキーワードの時代に入っていることだけは確かです。
Taichi